6-3 米国商標


1.米国商標制度の特徴

(1)使用主義

米国では、使用主義を採用しています。つまり米国では、商標の使用がなければ商標権が発生しません。米国への出願・登録には、原則として米国での商標の使用が必要です。
一方、日本では、登録主義を採用しており、日本で商標を使用していなくとも商標権を得ることが可能です。

(2)州登録と連邦登録

米国では、各州内での取引のための州登録と、州の間や外国との取引のための連邦登録があります。
日本から出願する場合、連邦登録を取得することになります。

(3)マドリッド協定議定書

米国は、マドリッド協定議定書の加盟国です。
よって、マドリッド協定議定書に基づいて、国際出願の指定国とすることができます。

(4)パリ条約

米国は、パリ条約の加盟国です。
よって、パリ条約に基づいて、優先権を主張することができます。特許と異なり、商標の優先権期限は6ヶ月ですのでご注意ください。

(5)商品・役務の表示方法

米国での商品や役務の表示は、かなり具体的に記載することが求められています。
そのため、日本の商標出願を、指定商品を変更せずにそのまま米国に出願すると、ほとんどの場合、審査官から拒絶されます。
例えば、日本では、商標をジーンズにのみ使用する場合でも、被服(第25類)という商品の表示が認められます。「被服」は、洋服、和服、靴下や帽子も含む広い表現です。
米国では、商標をジーンズに使用する場合、「被服」や「洋服」という商品の表示が認められません。単に「ジーンズ」と商品を指定するか、「clothing, namely pants」(衣類、すなわちズボン)と記載します。

2.米国への商標出願方法

米国への商標の連邦登録には、以下の5つのパターンのいずれかを選択することとなります。

(1)使用に基づく出願

既に米国で使用している商標について出願できます。

(2)使用意思に基づく出願

米国で未使用でも、使用意思を宣誓して出願できます。
登録許可通知から半年以内に使用陳述書(Statement of Use, SOU)を提出する必要があります。

(3)優先権主張出願
(4)本国登録に基づく出願

これらは、本国出願の日付番号国名を記載して出願します。(3)を出願する場合、本国での登録後に(4)となり、米国で登録になります。

(5)国際登録(マドリッド協定議定書)経由

出願時に標章を使用する意思の宣言書(MM18)を提出する必要があります。
登録許可通知から半年以内の使用陳述書の提出は不要となります。
しかし、国際登録をするためには、日本国内に対応する商標出願が必要になります。
また、米国のみの権利が必要な場合、国際出願をすると、割高になることが多いです。