5-1 審判と訴訟(1)
1.無効審判が請求された
無効審判とは、商標登録に対し無効理由がある場合に、利害関係人からの請求により無効にして消滅させることができる制度です。
無効審判が請求された
OLだった松井さんは、会社を辞めてエステ店の開業を決意しました。
松井さんは、お店の名前を決めると、自分で商標登録出願しました。
それから1年後、松井さんの商標は無事登録されました。
しかし、ある日突然、特許庁からの通知が届きました。
なんと、自分の登録商標に対して無効審判が請求されているというのです。
困った松井さんは、知人の弁理士に相談しました。
弁理士が調査したところ、無効審判の請求人Aさんは、自分の商標登録出願が、類似する松井さんの登録商標によって登録されない為、無効審判を請求したということが分かりました。
そこで、弁理士は、松井さん、請求人Aさん、Aさんの代理人である弁理士と話し合いを行い、松井さんがAさんの商標登録出願を代わりに取得することで、無効審判の請求を取り下げてもらうことにしました。
このことをきっかけとして、松井さんはAさんと意気投合し、良きビジネスパートナーとなることができました。
無効審判を請求する理由は様々です。
今回のように、無効審判の請求人が敵意を持っていない場合もあります。
弁理士に相談することで、トラブルを円満に解決できることもあります。
2.不使用取消審判が請求された
不使用取消審判とは、実際には使用されていないと思われる他者の商標権に対し、取り消しを求めることができる制度です。
不使用取消審判が請求された
飲食店を営む藤木さんは、開業するときに、自ら店名について商標登録出願しました。
藤木さんの商標は無事登録され、3年が経過しました。
ある日、特許庁から不使用取消審判が請求されていることを知らせる通知が届きました。
しかし、藤木さんは仕事が忙しく、その後の通知も放置してしまいました。
すると、最終的に、特許庁から商標登録が取り消されたことを知らせる通知が届きました。
不使用取消審判の場合、請求された側が 商標を使用していることを立証しなければなりません。
一方、不使用取消審判を請求したAさんは、藤木さんの商標と類似する商標を既に出願していました。
藤木さんの商標登録が取り消されたことで、Aさんの商標が登録され、藤木さんの商標は再度出願しても登録を受けることができなくなってしまいました。
結局、藤木さんが使用していた店名は、Aさんの商標権を侵害することになるため、使用を停止しなくてはならなくなってしまいました。
自らの商標権について問題が発生した場合、必ず弁理士に相談して下さい。
問題を放置してしまうと、大損害を被ることがあります。
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