2-2 商標の早期審査制度


1.商標の早期審査とは

商標を出願すると、審査の最初の結果が通知されるまでに平均9か月かかります。しかし、この期間を短くすることができる制度があります。 それが、商標の早期審査制度です。
早期審査を申請した場合、申請から審査までの期間は平均1.9か月で(2020年実績)、通常の出願と比べて大幅に短縮されています。

2.早期審査の対象

商標で早期審査を受けるためには、既に出願商標を使用しており(又は使用準備が進んでおり)、さらに下記条件のいずれかを満たす必要があります。

(1) 出願人が、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、かつ、権利化について緊急性を要する案件

権利化について緊急性を要する出願とは

※ 「緊急性を要する」とは、次のいずれかをいいます。
a) 第三者が出願商標を無断で使用(使用準備)している
b) 出願商標の使用(使用準備)について第三者から警告を受けている
c) 出願商標について第三者から使用許諾を求められている
d) 出願商標について日本以外にも出願中である
e) 早期審査の申出に係る出願をマドプロ出願の基礎出願とする予定がある

(2) 出願人が、出願商標を既に使用している(又は使用の準備を相当程度進めている)商品・役務 "のみ" を指定している案件
(3) 出願人が、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、かつ、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務 "のみ" を指定している案件

例1

Aさんは、靴を修理する専門家です。
そこで、第37類「靴の修理」を指定して、商標出願をしています。 この場合、Aさんは、チラシや広告などを提出して早期審査の申請をすると、指定商品をこのまま補正することなく、早期審査の適用が受けられます。

2

Bさんは、ラーメン屋さんです。
そこで、Bさんは、第43類「飲食物の提供」を指定して、商標出願しています。 この場合、Bさんは、指定商品を第43類「ラーメンの提供」に補正し、お店の写真や広告などを提出して早期審査の申請をすると、早期審査の適用が受けられます。
※「飲食物の提供」は、ラーメン以外にも、うどん、イタリア料理、カレーなど、他の料理をお店で提供するサービスも含んでいます。よって、「飲食物の提供」のままですと、実際に営業されているラーメン屋さんに対して広すぎるため、補正なしでは早期審査の適用が認められません。

3.早期審査のための手続き

早期審査を適用を受けるためには、「早期審査に関する事情説明書」の提出が必要です。事情説明書には、必要な証拠書類を添付し、これらの書類から要件を満たすと認められれば、早期審査の対象となります。

なお、ファストトラック審査の対象案件については、申請をしなくても自動的に出願から約6か月で最初の審査結果通知が行われます。

ファストトラック審査対象

(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務(以下、「基準等表示」)のみを指定している商標登録出願
(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願

最新の情報は特許庁HPで

法律や制度は随時改正されています。最新の情報につきましては、 特許庁HP にてご確認ください。