6-2 外国に出願するには


1.世界各国で登録できる国際登録出願

日本の商標権は、日本国内にしか効力が有りませんし、 各国の商標権は、各国の領域内にしか効力が有りません。 そのため、海外で事業を展開するには、その国で商標権を取得する必要があります。

したがって、アメリカでの商標権が欲しければ米国特許商標庁に、 中国での商標権が欲しければ、中国の商標局に手続を行う必要が有ります。 しかし、各国ごとに、出願から登録まで手続を行うと、大変な手間が掛かります

そこで、1回の手続で、複数の国で権利を取得可能な、国際登録があります。 正式には「マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願」です。
マドリッド協定議定書は、マドリッドプロトコル(Madrid Protocol)とも呼ばれます。

複数の国で商標権が必要な場合は、 国際登録出願には、 費用が安い、権利化が早い、手続が簡単 というメリットが有ります。

マドリッド協定議定書加盟

マドリッド協定議定書加盟により、1つの言語で国際出願するだけで、複数の国で商標登録することが可能になりました

従来は、複数の国で商標権を得るためには、国ごとに出願し審査を受け、登録されるという手順を踏む必要がありました。
また、登録後の権利の維持につきましても、国ごとに更新手続きを行う必要があり国ごとに代理人を定め、その国の言語で手続きをし、国ごとに送金しなければなりませんでした。

出願する側からすれば、1つの商標については、1つの出願で、複数の国で保護を受けられるのが理想的です。それを可能にしたのが、マドリッド協定議定書です。

日本は、2000年3月14日にこの議定書に加盟しました。加盟したことにより、商標法に「マドリッド協定の議定書に基づく特例」が新設されました。
これによって、この特例に基づく国際登録出願が可能になりました

   

2.国際登録出願のメリットと注意点

メリット

費用が安い

例えば、アメリカ、EU、中国、韓国の計4カ国に出願する場合、 各国ごとに出願すると、合計で
120万円程度マドプロで出願すると、合計で50万円程度となります。(各国で出願すると、現地の
代理人の費用と、各国ごとの弊所の作業が必要なため、高額となります。)
また、出願後の更新登録でも、各国の代理人への依頼せずに実行可能なので、安価となります。

権利化が早い

国際登録出願においては、国際登録から1年または1年半まで(国によって異なります)に、結果が
わかります。

出願時の手続が簡単

各国ごとの出願では、現地の代理人に各国の形式に従う書類を作成してもらう必要が有ります。
しかし、国際登録出願であれば、特許庁に書類を送れば、それですみます。その後、WIPOが各国に送ってくれます。

更新登録時の手続が簡単

商標権は、存続期間を更新登録しなくてはなりません。 各国の存続期間はばらばらですので、複数の国に権利がある場合、管理が非常に面倒となります。 しかし、国際登録であれば、存続期間は10年に統一されており、管理が簡単です。 また、費用の納付先も、WIPOだけですのでので、
手続も簡単です。

後に、保護を求める国を増やすことができる

事後指定という制度があり、保護を求める国を追加することができます。(ただし、追加の費用が発生します。) 例えば、米国と中国を指定していたが、後に韓国においても商標権が必要になった場合に、韓国で商標権を得られます。

注意点

日本に商標出願・商標登録が必要

日本国特許庁に、基礎となる出願や登録が必要となります。
商品名が、日本名と海外名が異なる場合(自動車などで多いようです) この場合、日本の商標と海外の商標が異なるので、 日本名の日本の商標権を基礎にして、海外名の商標を国際登録することはできません。(日本で、海外名の商標権を取得して、その商標権を基礎にすることはできます。)

日本の出願と、商標が完全に同一でなければならない

日本の商標がひらがなや漢字の商標の場合、国際登録もひらがなや漢字 にする必要が有ります。
英語やローマ字に変換することができません。

各国で審査あり

各国では「商標登録が認められるか」の審査が有ります。

加盟していない国や地域がある

最新の加盟国に関しては、特許庁やWIPOのホームページなどをご覧ください。

最新の情報は特許庁HPで

法律や制度は随時改正されています。最新の情報につきましては、 特許庁HP にてご確認ください。