3-2 指定商品と指定役務(1)
1.商品商標と役務商標
商標出願をする際には、商標権を取得したい 商品 または サービス を指定する必要が有ります。
その対象となるものによって 商品商標 と 役務(サービス)商標 に分かれます。
商品商標とは
世の中には、無数の商品があります。一般的に 商品 とは次のように定義されます。
1.有体物である
2.独立して商取引の直接の目的物とされる
3.有償で売買される
4.流通性のある動産
1.有体物
有体物とは、通常は目に見えて、手で触ることのできるもののことです。
目に見えない「権利」「電気」「熱」といったものは有体物には含まれません。
ちなみに「電気」は有体物ではありませんが、「電池」という形になると有体物になります。
2.独立して商取引の直接の目的物
「独立して商取引の直接の目的物」というととても難しく聞こえますが、例えば、「おまけ」のことです。最近では、ペットボトルやお菓子などによくオマケが付いてくる事があります。
この場合、お客さんがお金を払う直接の目的はペットボトルやお菓子であり、オマケではありません。
ですから、お菓子は商品ですが、オマケは商品ではないということになります。
3.有償 で売買される
お金を支払って買うものが商品であるという定義です。
たとえば、企業がお茶を売るためのプロモーション活動の一つとしてノベルティを配ったとします。この場合、お茶は商品ですが、プロモーションのためのノベルティは商品にはなりません。
4.流動性のある動産
物として移動できるものでなければ、商品にはなりません。例えば、土地や建物はその権利者が変わることはあります。しかし、土地や建物自体が物理的に移動することはありません。
したがって商標法上では、土地は商品ではないということになります。
役務商標とは
商品との最も大きな違いは 無形である という点です。
たとえば、インターネットを見て情報を得たり、電車に乗って移動したり、映画を見たり、音楽を聴いたり、銀行にお金を預けたりします。
こういった無形のサービスに対する名称を「役務商標」または「サービスマーク」と呼ばれ商標の対象になります。
サービスも企業のレベルや内容によって様々ですから、消費者もその違いを商標で識別することが必要です。これがサービスマークです。
商品との違いは、有形ではなく無形であるということと、流通性がなくてもよいということになります。
2.商品・役務はどれを指定すればよいの?
どのような商品やサービス(役務)を指定するべきかの判断は複雑です。
以下、ある事例において、指定するべき商品・サービスを説明していきましょう。
ラーメン屋さんの場合
ラーメン屋さんの場合、最初に登録するべき商標は、お店の名前です。 では、お店の名前で、どのような商品・サービスを選択するべきなのでしょうか。
まず、第43類「ラーメンを中心とする飲食物の提供」というサービスが思いつきます。通常のラーメン屋さんであれば、これで業務をカバーできます。しかしながら、もしそのラーメン屋さんが、ぎょうざのテイクアウトをしていた場合はどうなるでしょうか。その場合は、指定商品として第30類「ぎょうざ」を選択する必要が有ります。
ついでに、ラーメンやチャーハンもテイクアウトする可能性もあるそうですので、第30類「ラーメン」、「チャーハン」の選択も行います。
さらに、そのラーメン屋さんが、フランチャイズ展開をする場合はどうなるでしょうか。その場合、第35類「ラーメン屋の経営に関する助言・情報の提供」というサービスも選択する必要が有ります。
パンの配達を行っているパン屋さんの場合
このパン屋さんは、パンを店頭で売っていますので、指定商品第30類「パン」はもちろん必要です。
さて、パン屋さんが、店頭で売るだけでなく、お客さんに自社製のパンの配達も行う場合には、第39類「自動車による輸送」というサービスは、指定する必要があるでしょうか。答えは、Noです。このサービスは、宅配便業者など、輸送自体をサービスとして提供する会社が指定するものです。また、平成19年よりできました、小売商標制度を利用して、第35類「パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」というサービスを加えておけば、よりよいでしょう。
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