1-1 商標とは
1.商標とは
商品を購入するときに、その商品の中身を見なくても、その商品名からどんな商品なのか判断することができます。 こういった商品のネーミングやマーク、つまり文字、図形、記号、立体的形状、若しくはこれらを組み合わせたもの が「商標」です。 商号と呼ばれる会社やお店の名前なども商標 となります。
商標が登録されると他の人は、その登録された商標と同じ(又は類似した商標)は使用することができません。 登録した人がその商標を独占して使えるようになります。
また逆に、新商品や新サービスのネーミングをするときは、他社の商標権を侵害しないように注意しなければなりません。 すでに他社が登録している商標を勝手に使用してしまうと、差し止め請求を受けたり、場合によっては損害賠償請求を受けることもあります。
「登録されているなんて知らなかった」で済まされる問題ではありません。
安易に他社の登録した商標を使用してしまうと大きな問題に発展してしまうこともあります。
2.商標の表示
よく見かけるマークは、何を意味しているの?
商標にはマークをつけないといけないの?
◆ Rマークとは?
Rマークは「Registered」の略で、登録済みの商標につけられます。 Rマークは、米国の連邦商標法上で使用が必要とされているものです。米国では、Rマークを付さない場合、模倣品に対して権利行使ができない場合が有ります。
日本の商標法上は、Rマークを表示しなくても問題ありません。
ただし、日本でもRマークを付しておけば、消費者や流通業者に商標が登録済みであることをアピールでき、信用が高まると考えられます。
Rマークの使い方
Rマークの付し方は、一般的には、商標の右上や右下に付すことが多いようです。
といったようなものです。お手元の缶コーヒーやペットボトルに、Rマークを見ることができるかもしれません。
◆ TMマークとは?
TMマークは「Trade Mark」の略ですが、日本の法律上は 付ける意味は特に有りません。
そのため、登録の有無にかかわらず、自分で商品のマークであると思えば、付してかまいません。
◆ 他の商標表示方法
「●●は××社の登録商標です」という表示をよく見ると思います。
これも法律ではありませんが、表示することで、商標の普通名称化を防ぐことができます。
普通名称と判断されると、商標登録が取り消される場合があるからです。
普通名称化の例
「正露丸」は、もともと整腸剤についての登録商標でした。
しかし審判や裁判を通じて、正露丸は整腸剤についての普通名称であると認められ、登録が無効となり、誰でも使用できるようになりました。
◆ Cマークとは?
cマークのcは「copyright」の略で、著作権の表示です。商標法とは関係ありません。
cマークもまた、日本の法律上は、特に意味が有りません。
日本の著作権法は、無方式主義を採用しており、著作権の発生になんらの手続や表示を必要としていないからです。
cマークは、「万国著作権条約に加入しており、ベルヌ条約に加入していない国」でのみ必要なマークです。しかし、現在、1989年にアメリカがベルヌ条約に加盟したことから、今は主要国ではcマークは必要有りません。
ベルヌ条約非加盟国は、ミャンマー、イラク、スーダンなど、数えるほどになりましたので、世界においても、法律的にはcマークはほとんど意味を持ちません。
ですので、現在においてもcマークがこれほど広まっているのは、不思議ともいえます。
cマークをつけることで、著作権がある旨をあらかじめ主張するという安心感があるのかもしれません。