2-1 商標を登録するには
商標権を取得するにはどうすればよいのですか?
◆ 商標登録の流れ
商標権を取得するまでの流れは、以下のようになっています。オレンジの太線が、スムーズに進んだ場合の手続きになります。「出願人による手続」部分は、代理人(特許事務所等)への依頼が可能です。お気軽にご相談ください。
1.出願
商標権を取得するには、特許庁に対して「商標登録出願」を提出する必要があります。
・他人が登録している商標と、同一又は類似のものは登録することができません。
・商標登録出願をする際には、商標権を取得したい商品やサービスを指定する必要が有ります。
・取得までの期間は、審査開始時期にもよりますが、スムーズに進んだ場合で半年~1年位です。
・早く審査を受けられる早期審査制度もあります。
商標の早期審査制度
2.拒絶理由通知
商標登録出願に「拒絶すべき理由」がある場合、特許庁から拒絶理由通知書(登録が認められない理由が書かれた通知書)が送られてきます。
特許庁の判断に納得がいかない場合、その判断に意見を述べる意見書や補正書を特許庁に対して提出することができます。それらによって、特許庁の審査官が「拒絶理由がなくなった」と考えを変えた場合、特許庁から登録査定が送られてきます。
また、意見書によっても、審査官が「拒絶理由がある」と考える場合、特許庁から拒絶査定(登録を認めない通知書)が送られてきます。この拒絶査定に対して、さらに拒絶査定不服審判を請求することができます。
また、拒絶査定不服審判の結果に対して、更に納得がいかなければ、知財高裁に訴えることもできます。
拒絶理由通知を受けた
新商品を考え出したAさんは、新商品につけるネーミングを考え、商標「○○」を出願しました。
出願から約半年後・・・
特許庁から一通の封筒が届きました。なんと、その封筒には、「拒絶理由通知書」という書類が入っており、商標「○○」の登録を拒絶するという大変不愉快な内容でした。しかしながら、Aさんは商標「○○」をすでに使用しており、商標権を取ることは計画のうちです。Aさんは、商標○○がすでに使用中であり、商標○○がどんなにAさんにとって重要であるかと、何とか登録にしてほしいという内容を、審査官に電話しました。
その数ヵ月後・・・
Aさんの手元には、特許庁からの「拒絶査定」が送られてきました。結局、商標「○○」は登録になりませんでした。
商標登録出願に対して、特許庁の審査官がいきなり拒絶査定を出すことはありません。拒絶査定を行う前に、必ず一回は「拒絶理由」を通知します。そのため「拒絶理由通知書」が手元に送られてきても、正しい対応によって登録になる可能性はまだ充分にありますので、あきらめないでください。
ご自分で出願され拒絶理由を通知されてしまった方、まずはご相談ください。ご相談いただければ、経験と知識に基づいて、適切な意見書を作成いたします。
また、どうしても審査官の意見を覆せそうに無ければ、例えば図形や言葉と組み合わせるなど、クライアント様の目的に沿い、かつ権利の取得が可能な商標をご提案させていただきます。
また、出願前にご相談いただければ、登録の可能性について事前に検討することができます。
もし商標権を取得できなかった場合、お店の看板の変更、チラシや包装紙やシールの刷り直し、宣伝広告のやりなおし等を行うことになってしまいます。そのような損失を少なくするためにも、是非事前にご相談ください。
商標に関するご相談,お悩み等をお気軽にご連絡ください。お問い合わせフォーム・メールでのご相談は無料です。
お問い合わせ お気軽にお問い合わせください。3.登録査定と設定納付
商標登録出願に「拒絶理由」がない場合、出願から半年くらい経過後に特許庁から登録査定(登録を許可する連絡)が送られてきます。
商標権を発生させるためには、 登録査定の連絡を受けた日から30日以内に特許庁に「登録料を納付」する必要があります。(商標法40条1項、41条1項)この設定登録料を納付しない場合、商標権は発生しないことになります。
登録料の納付忘れの事例
2008年10月、青森県は、県が育成した新品種のリンゴ「あおり21」「あおり27」と、花のデルフィニウム「スカイスピアー」の3品種が、登録料が期限内に納付されなかったことにより、品種登録が取り消されたことを発表しました。
そのため、24年間を費やして開発したりんごの品種登録が認められませんでした。
これは、種苗法で設定登録料の納付を行わなかった事件ですが、 商標権でも同様に設定登録料の納付を行わないと、せっかく出願した商標の登録が認められません。